墓所が小型化する理由とメリット
現在ニュースや各メディアで墓地の小型化についてよく耳にすると思います。
人口の多い大都市では骨壷だけを預けるマンション型や郵便ポストサイズなどもありますが、当店のある群馬県などの地方都市では一族の繋がりがまだ比較的強いせいか、基本的に大型の墓所が多い傾向にあります。
しかし近年になり各家族か進んでいる市街地に近い墓所などは段々と小型化が進んでいるようです。
寺社の境内墓所などでもランダムに建てられていた昔のお墓を整理・区画分けしたり、墓じまいをした墓所を分割して販売する傾向が多いように思います。
このように墓所を小型化するメリットとしては以下のような理由があります。
墓所小型化のメリット
- 坪数が小さいので永代使用料(販売単価)が安くなる
- お墓づくりに使用する石の量が少なくなるので墓石価格も安くなる
- 寺社等は多くの人に分譲できる(檀家数も増える)
- 面積が少ないので掃除が楽
- 納骨室の大きさ自体はさほど変わらない
今回は前橋市内での間口1m×奥行き1mのお墓建て替え工事を例に見ていきましょう
施工前の状態
なぜ建て替えに至ったのでしょうか?
上の写真は某寺社境内にある墓所面積1m×1mのお墓です。
今回この明治時代から続くお墓を新たに作り直す事となったわけですが、そこにはいくつかの問題点がありました。
まずは過去碑(墓誌)がないため戒名を石塔に刻んでのですが、もう既にいっぱいになってしまっていました。
それと同時に納骨するための入り口が小さく、瓶が入らない構造になっていました。入り口の場所は、正面にある花立の石を持ち上げるとそこに小さな穴が空いている程度です。以前まで納骨時は瓶から出して遺骨を穴の中に落としていたようです。
香炉を置くスペースががないのでステンレス製の線香皿もそのままむき出しになっています。
石塔まわりの石と石の狭い隙間は手が入りませんので木が生えてしまいました。木の根は墓石の下に入り込んでしまっているため、もう抜くことはできません。
解体撤去作業中、お墓の下から直径70cm、高さ1mほどの土管が埋蔵されていました。納骨時にお墓に入れた遺骨はこの土管の中に落ちていく構造になっていました。
以前のお墓
- 戒名を彫刻する過去碑がない
- 納骨室入り口が狭く、中も見えない
- 石の間に木が生えてしまって抜けない
- スチール製の塔婆立ても劣化してきた
- 狭所のため香炉など新たに改造や設置をするスペースがない
施工面積そのままに『和』と『洋』を選ぶ
当初、お施主様は高級感ある和型のお墓にするか、今風の洋風のお墓にするか迷われていました。墓所の面積(1m×1m)は変えることができませんので土台まわりのデザインは同じにし、石塔と少しの配置を工夫して2パターンをご提案させて頂きました。
結果的に低くて比較的お掃除が楽な洋風プランに決定しました。土台上も広々使えるのも決めてです。
このようにお客様のご希望を比較してご提案することもできますので迷ったら何でもご要望を言ってくださいね。可能な限りわかりやすくご提案させて頂きます。
和型 洋風
施工後の状態
さて、完成ましたので新旧を比べてみましょう。
何だかお墓自体が大きくなったように見えますが、間口(横幅)は変わっていませんが、逆に奥行きに関しては少し縮めました。
改善されたポイント
- 過去碑もしっかり備わりこれからも長年に渡って戒名を刻めるようになりました。数代先(数百年先)まで心配はいらないと思います!
- 問題だった納骨室は土台内部全体の空間を使用しているのでとても広くなりました。入り口は土台正面の蓋石で大きくなり、問題なく瓶ごと埋葬できます。土台領横には通気孔を設けましたので内部は湿気により結露することはありません。
- 墓所全体がコンクリート基礎になりましたのでもう隙間から木が生えてくることもありませんね。
- 花立、香炉、塔婆立てなどを設置してもまだ土台上にはゆとりがあります。お供えを置いたり荷物を置いたりするのに十分なスペースを確保しました。
- 土台と石塔の高さについては正面に立った時に石塔の竿石が目線の高さになるよう設計されています。お線香をあげる時も腰を曲げて背中を丸めずにできるので体にも優しいですね。
- このデザインは外柵で囲われないため、落ち葉などのゴミが自然に風で飛んでしまうのでたまりません。吹き溜まりになる箇所もないため苔や水垢もつきにくく、お掃除が非常に楽なんです。
お墓づくりは立地や環境によっても様々な制約ができてしまいがちですが、我々石材店は長年の知識と経験で最大限のご提案をさせて頂きます。お困りごとがありましたらぜひご相談ください。
以上、1m×1mの狭所墓所工事についてでした。